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傾聴の効果とは?仕事や人間関係の不安が解消できます

傾聴とは

20世紀を代表する米国の心理療法家
カール・ロジャーズが提唱した、
来談者中心療法がベースとなった
カウンセリングスキルです。
そして、傾聴はコミュニケーションのひとつです。

日常生活では、広い意味で一生懸命聴こうとする姿勢を
傾聴とよんだりしますが、
心がけではなく理論とスキルがあります。

練習することで、聴く力を育てることができます。

傾聴の効果

傾聴の効果とは、お話をお聴きしたときに、
良い変化として相手におこりうることを意味します。
それでは、具体的にどの様な効果があるのでしょうか。

カタルシス効果(吐き出してほっとする効果)

何か心にモヤモヤしたものを抱えているときに、
聴いてもらうだけで、心がすっきりしたり、
癒されることはないでしょうか。

人間にはもともと、話をしたい欲求があります。
しかし、日常生活で、自分が話したい時に、
都合良く、聴いてもらえるとは限らないものです。

それを聴いてくれる人がいて、
心にたまっているもやもやした気持ちを吐き出し、
吐露することによって、心が癒やされるのです。

それによって気分がすっきりし、
それまでのもやもやした気持ちや、
不安および緊張などの症状が軽減したり、
なくなることを「カタルシス効果」といいます。

相手が聴いているかどうか以前に、
話すという行為をすると、
人間の脳の中で快楽ホルモンが出るとも言われています。
そのため、話すだけで癒やされるのです。

たとえば、今まで誰にも言ってなかった、
心の奥に秘めていた気持ちを吐き出すことで、
快楽
ホルモンが放出し、
セルフイメージが上がるようなこともあります。

アウェアネス効果
(自分に気付きやすくなる効果)

英語の辞書によると、”awareness”には、
「意識」「知ること」「自覚すること」
という意味があります。
身近なところでは、相手にアウトプットすることにより、
自分の頭の中がクリアになっていきます。
たとえば、迷っていたり、悩んでいたりしても、
頭の中で整理することができ、
アイデアを思いつくようなこともあったりします。

あまりにも極度に思い悩むことがあると、
脳に負担がかかり、視野が狭くなってしまい、
解決策が出ないことがあります。

そういう時に、自分の悩みを言葉にすると、
新しい考えや発想などが見えてくることもあるのです。

「自分はこう考えているんだ」
「こんなところが嫌いなんだ」のように、
意識の上では、全く見えていなくても、
もともと自分の中にある無意識に気づくことができます。
あるいは、盲点を発見するということを、
聴いてもらうことによって(話すことによって)
可能になります。

バディ効果(安心を感じる)

もともと”buddy”には、「仲間」「相棒」
という意味があります。

端的に言うと、孤独感、孤立感からの解放により、
その後の日常生活において、
自分の存在を肯定することができるようになります。

さらに、相手が、しっかり受容しながら
聴いてくれることで、自己肯定感が上がり
また、共感的に聴いてくれることで、
「私は一人ではない、わかってくれる人がいる」
思えるようになります。

自分への傾聴力が高まる

すでにお話した効果については、とても大切なのですが、
傾聴がめざしている効果の最も大きなものとして
「自分への傾聴力が高まる」というものがあります。
そのためには、聴いてもらう体験が必要であったりします。

聴いてもらう体験そのものが、
自分の心をちゃんと傾聴できるようになるための
疑似体験だということ。
聴いてもらえる機会がないと、
その聴いてもらう良さを感じる経験を
得られないわけですから。

最初は、カウンセラーの方やお友達に
聴いてもらえる人がいるなら、問題ありません。
しかし、いつも聴いてもらいたいときに、
聴いてもらえるとは限りません。
カウンセラーの方であれば、1か月後の予約日まで
待つことになるかもしれませんね。
そのときに、他の人に聴いてもらうのではなく、
自分自身に寄り添う、支えるという聴き方
できるようになったらいかがでしょうか。

つまり、あなた自身が心の声を
聴いてあげれる人になればいいのです。
最初は、他の人に聴いてもらう経験が必要ですが、
そのうち、自分への傾聴力が高まる効果
出てくるのです。

傾聴の目的

支える、寄り添う、そのまま受け止める、
よき理解者になろうとする
ことです。
ちなみに、気づかせる、分からせる、喜ばせる、
気分を良くさせる、ある方向に誘導する
ことではないのです。

傾聴を使える場面

職場の打ち合わせ

ビジネス

「ビジネスに傾聴なんて必要ですか?」
「ビジネスでは気持ちなんか関係ないよ。
起こっている事実関係だけ明確になっていることが重要」
っていう方がおられます。

今まで、傾聴を使わなくても、
困ったことがないのであれば、
わざわざ傾聴を取り入れる必要はありません。
しかし、うまくいかなかったときもありませんか?
それは、なぜかというと、ビジネスの目的が
「顧客の気持ちを解決すること」だからです。

たとえば、掃除機を購入したいお客さまがいたとして、
購入までの行動パターンで、こういう風になることが
あるかもしれません。
「掃除機を見つける→使い心地を確認する→
店員さんに質問する→欲しいという気持ちになる→購入する」
この”欲しいという気持ち”が大切で、ここで、
お客さまにネガティブな気持ちがあるとすると、
それを解決しないと、
購入する行為に至らないことになります。

そこで、傾聴を使って、気持ちの理解に意識を向けることで、
問題解決に向かいやすくなる
のです。
同様に、職場内の同僚や部下への不満、
あるいは、クレーム対応でも、
理屈ではなく気持ちを解決することに
最善を尽くことが解決につながりやるくなるのです。

夫婦間

男性と女性は、そもそも異星人であると
認識しているほうが、納得できるかもしれません。
(参照:ベスト・パートナーになるために
ジョン・グレイ著(大島渚 訳)三笠書房)
この認識があること前提で考えるとしましょう。
ストレスを抱えている状態のときに、
男性は、女性に対して、放っておいてほしいが、
女性は、男性に話を聴いてほしいという。
このときに、男性は女性の話を聴くときに、
傾聴を使って、女性の気持ちをしっかりと受けとめ、支える。
それだけで、次に発するアドバイスや励ましも、
受け入れやすくなることもあります。

子育て

親は子供に対して理想があり、「こうなって欲しい」、
「あなたのために・・」と、想いがいっぱいです。
しかし、親が口にするのは、
自分の過去の知識や経験からのアドバイス、
根拠のないはげましなど、それが、ときに子供にとっては、
大きなストレスになるのです。
もちろん、必ずそうなるものではありませんが。

親の考えを押し付けることは、
子供が本来持っている問題解決力や、
自己成長力を妨げる
ことになります。
そこで、何より大切なのが、当たり前のことですが、
子供の話を聴く」につきます。
親に傾聴してもらった子は、
能力を最大限に発揮できるような集中力と
精神力を持てるようになります。

看護

患者さまの感情に寄り添い、
まず信頼関係を構築するために、傾聴が役に立ちます。
また、傾聴がコミュニケーションの一部としても
位置付けられていることから、
意図的になんらかの効果を期待するというよりは、
患者さまとの相互支援やケアをする中で
日常的に行われている側面もあるようです。

看護師が患者に傾聴するときの基本的な姿勢は、
カウンセラーがクライアントに対するものと、
ほぼ同様である。
なお、傾聴は患者にとって、好ましいものとして
使われているが、看護師にも、成長がみられ、
職業的アイデンティティの強化につながると
言われている。
(参照:看護における「傾聴」の概念分析
日本ヒューマンケア科学会誌第6巻 第1号 2013年)

ボランティア

最近、傾聴ボランティアとして、地域のお役にたちたい、
あるいは、被災者の力になりたいと
考えておられる方が増えました。
「傾聴」という言葉も、
震災をきっかけに知った方も多いようです。
人の話を聴くことが、人の役にたてるかもしれない
と思って参加するのですね。
ひとつ気をつけたいことは、傾聴ボランティアで
お話を聴いてさしあげたいと思う方は、
私がなんとかしないと・・と依存状態になりうる可能性もあります。
傾聴ボランティアの活動と自分の生活に
しっかり線をひく(分ける)ことが大切です。
くれぐれも相手の感情に
巻き込まれないようにしたいものですね。

ロジャーズの3原則

 

ロジャーズの3原則
無条件の積極的関心
共感的理解
一致

これについては、
下記の著書にわかりやすく書かれていますので、引用します。
(引用:はじめてのカウンセリング入門下
ほんものの傾聴を学ぶ 諸富祥彦著 誠信書房)

無条件の積極的関心(受容)

カウンセラーの価値観や好みによって
取捨選択せず、クライアントのこころの
どのような部分にも
「ああ、こんな気持ちがおありなんですね・・」
と、ただ、そのまま受け止めていくことです。
「あなたは今のままで素晴らしいですよ」と
肯定することではありません。
カウンセリングでは、原則的に、
相手をほめることも、叱ることもしません。
「そうですね」と相手に同意したり、
賛成したりもしません。
〇もつけず、×もつけず、ただ、
「ただ、そのまま、受けとめていく」のです。
(中略)
ここで大切なことは、
(「無条件の積極的関心(無条件の肯定的配慮)
とも訳されます
」における「無条件」
という言葉は、「選ばない」ということ、
カウンセラーが自分の価値観に従って
クライアントの話を聴いて
「この部分は大切、この部分はそうでもない」などと、
聴き手の価値観で取捨選択しないこと・・・
(続く)

共感的理解

クライアントの私的な世界を、
その微妙なニュアンスに至るまで、
あたかもその人自身になったかのような姿勢で、
「あなたが今、感じていることは、
〇〇ということでしょうか」と、
正確かつていねいに、伝え返し、
たしかめていくことです。
たとえば、彼氏にふられて
ひどく落ち込んでいるKさんの気持ちを、
Kさんのこころの内側に入りこみ、
Kさん自身になりきって、
Kさんと同じ価値感やものの見方、考え方、
感じ方をしているようなつもりで
(内的準拠枠)、
「Kさんが今感じているひどい落ち込み」を、
Kさん自身のこころの内側から感じとって、
そこで感じとったことを、
「あなたが今、感じていることは・・
あんなひどい男性にふられるなんて、
もうおしまいだ。
私には、女性としての
値打ちがあるとは思えない・・
といったことでしょうか」と、
ていねいに、
相手にたしかめてもらうようにして、
「伝え返していく」ことです。
これを感情の伝え返し(リフレクション)
と言います。
ここで重要なのは、
「あたかも」という性質を
見失わないようにすることです。
これを見失ってしまうと、
クライアントとのあいだに
必要な心理的距離を失い、
相手を受け止められなく
なってしまうことがあります。

一致

カウンセラーは、
①自分のこころを空(から)にして、
クライアントのこころのひだを
丁寧に聴いていくと同時に、
②クライアントの視点に立って、
そのこころのなかに深く沈潜していくとき、
同時に自分自身のこころの
深いところで発せられてくる
さまざまなこころの声や動きに
丁寧に意識をむけて、耳を澄ませていく、
という二つのことを同時進行で進めていきます。

つまり、①自分のこころを空(から)にして、
クライアントのこころに耳を澄ませるとともに、
②自分を捨ててクライアント自身になりきり、
クライアントのこころの中に
深く沈潜していくそのときにこそ、
自分自身の深いところから発せられてくる声にも
同時に耳を澄ませていく。
この、一見矛盾する二つの傾聴
クライアントの心の内側への傾聴と、
自分のこころを空にしてクライアントの話を聴いているときの
自分自身の心の内側への傾聴)
を同時におこなっていくのです。
このような姿勢を「一致」と言います。
(中略)
1961年にロジャーズが日本に来日した際、
ある方が公開の場で
「受容(無条件の積極的関心)と共感的理解、一致・・
あなたが言っているこの3つのうち
どれがもっとも重要なものですか」と
ストレートに質問しました。
多くの人が「どれも大切だ」と言うに決まっている、
と予測したのに反して、ロジャーズはきっぱりと
「一番大切なもの、それは、一致だ」と即答したそうです。
カウンセリングの中核は、安心した関係性のなかで、
話し手が、自らの内面に意識を向け、
ていねいに、ていねいに触れていき、
うちなるこころの声を聴いていくプロセスにあります。
(続く)

今日からできる傾聴の具体的なスキル

子供とお母さん

傾聴の基礎は、うなずき、あいづちです。
この基礎であるうなずき、あいづちがうまくできないと、
繰り返しや伝え返しというスキルが難しくなってきます。
うなずきやあいづちは、
相手に「あなたの話を丁寧にお聴きしていますよ」
という意思表示で行っているものです。
安心して相手に話をしてもらうことが大切です。
また、基本的には、相手とペースをあわせながらも、
「相手よりも、少しゆっくり」「少し低めの落ち着いた声で」
「含みを持たせつつ」うなずき、
あいづちをしていくのが基本です。
少し低めの声の方が相手が落ち着きますし、
自分の内面を見つめる雰囲気に
なっていきやすいからです。

まとめ

傾聴は、コミュニケーションが目的です。
そのコミュニケーションが良好になることにより、
人間関係の要といわれる信頼関係が
得られやすくなります。
上記のとおり、ご家庭やビジネスにおいても、
さらに、医療従事者やボランティアの方々にも
傾聴はお役にたてる聴き方であると考えます。
普段は、今までの日常会話をベースに会話を楽しみ、
何かコミュニケーションエラーが
起こりそうになったときに、
または、相手に寄り添って、話を聴きたいときに、
瞬時に傾聴での聴き方をオプションとして
持っておかれてはいかがでしょうか。

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